松田聖子さんの歌

私は以前は、松田聖子さんの歌う歌が好きではなかった。
多分、伸ばした音の後に「ウィ!」とひっかける歌い方に違和感があったし、
 (例:あーー私の「オッ!」恋は、南の風に乗って走るわ)
歌われている世界が「あなたが好き」という世界周辺であったことも
あったろうと振り返る。
ところが、このごろは「うまいもんだ」と感心する。これはなぜだろう。

 

曲がすばらしい、歌詞がすばらしいということに気づいたのが最初
かもしれない。松本隆という人をググった記憶がある。
詞に気がついてみると、その詞を表現する曲が詞にすばらしくマッチして
いることに気づいた。逆に先に曲に打ちのめされたこともあった。
そうこうするうちに、歌い方の癖が気にならなくなり、むしろうまいなあと
感じるようになった。ただの久留米のネーチャンではない。

 

そうして聞いていると、バックの演奏もすばらしいことにも気づいた。
他の歌手で言えば、爆発的に売れたグループでさえ、明らかに打ち込みの
演奏であるとわかる場合もある。 
パーカッションの絶妙な間を感じたりすると、うれしくなる。
演奏家の手腕もあるが、そのようにオーケストレーションした編曲家がいる
ことに気づく。良いものの重なり!

 

ちなみに、演歌も以前は好きではなかった。 表現されている世界になじめない
ように感じていた。過剰なビブラートが苦手でもあった。
ところが、歳を重ねてきて一部の歌い手さんはいいなあと思うようになった。
石川さゆりさんはその技量に圧倒される。八代亜紀さんもうまいなあ。
演歌独特の「こぶし」については、森まさこさんの「先生」を一押しする。
それでも、ビブラートにはなお慣れない。

 

こうしてみると、同じ自分という人間の中で何かが変化している。

同じ人でさえ、変化していくのよ。
ダニエルさん、方向が間違ってませんか? ※1
AIが第三次ブームで、「AIでコンピュータが曲を作ります」という研究を
している学者さんたちがいるが、出だしから間違ってるよ!※2
こっちは正しいと思う。※3

※1
  書籍 「音楽好きな脳」 ダニエル・J・レヴィティン
  もし音楽がひとそれぞれに違ってきこえているとするなら、
   たくさんの人を感動させる曲をどう説明すればいいのだろうか。
※2
 http://www.ist.osaka-u.ac.jp/japanese/introduction/professors/information-and-physical-sciences/architecture-for-intelligence/masayuki-numao.html
  研究テーマとして、感性獲得機構を提案し、ユーザの個性と感情に適応して
  コンテンツ作成を行うシステムを開発しました
  
 https://www.aibigeiken.com/
  人間が人工知能を使って創る芸術のことではない。
  人工知能が自ら行う美学と芸術のことである。
※3
  書籍 「音響設計学入門」 高木英行
   人間の創造部分を機械に置き換えることは意味がありません